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三島有紀子監督(『幼な子われらに生まれ』2017年/127分『繕い裁つ人』2015年/104分)待望の新作『ビブリア古書堂の事件手帖』(2018年/121分)が、11月1日(木)よりロードショー公開となる。

『ビブリア古書堂の事件手帖』ストーリー

幼い頃のトラウマで本を長時間読むことが出来ない体質になった五浦大輔(野村周平)は、1年前に他界した祖母の遺品である岩波書店『漱石全集・新書版』の一冊『それから』に、夏目漱石のサインがあるのを見つける。全集のページを捲っていくと、若き日の祖母(夏帆)の古びた写真と共に、この本を購入した古本屋の値札が出てくる。値札を頼りに古書店を訪れてみると、そこは北鎌倉、山之内に佇む「ビブリア古書堂」であった。
美しくも極度の人見知りである古書堂の店主・篠川栞子(黒木華)は年若い女性であるが、古書の知識は並大抵でなく、本の話になるとスイッチが入る。持ち前の推理力で『それから』のサインの謎を解き明かすと、大輔の祖母が誰にも明かさなかった秘密をも洞察してみせる。就職浪人中の大輔は栞子の妹・文香(桃果)の強引な勧誘を受け入れ、怪我で足を悪くしている栞子の助手としてビブリア古書堂で働くことになった。
慣れない古書店の仕事に、しかも読むことが出来ない本について、大輔は悪戦苦闘するが、徐々に内向的な栞子とも信頼関係が結ばれていく。大輔はある日、太宰治の『晩年』をめぐり、大庭葉蔵と名乗る謎の人物に脅迫されていることを栞子から打ち明けられる。砂子屋書房の初版本、しかも署名入りのアンカット版という大変な稀覯書で、栞子の怪我の原因も「大庭葉蔵」だという。大輔は栞子と共に、犯人を誘きだそうとするのだが——。

原作の三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』は、2011年『ビブリア古書堂の事件手帖 〜栞子さんと奇妙な客人たち〜』から続く書き下ろしミステリ小説で、2012年には文庫本としては初めて「本屋大賞」にノミネートされ、年間ベストセラー文庫総合第1位(トーハン調べ)に輝いた超人気シリーズ。
色々と話題となったテレビドラマ化(2013年)以降、作中に登場する書籍が品切れを起こすほど売上を伸ばしたり、絶版となっていた小説が復刊されたり、メディアを越えた社会現象を起こしている。

10月、109シネマズ名古屋(名古屋市中村区平池町)では『ビブリア古書堂の事件手帖』の特別試写会が開催され、スクリーンは抽選で選ばれた幸運な映画ファンで満員となった。
万雷の拍手の中、登壇した三島有紀子監督、黒木華、野村周平は、笑顔で作品の魅力を存分に語ってくれた。

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黒木華 皆さんとお会い出来て、映画を観ていただけるんだと思うと本当に幸せな気持ちです。今日は短い間ですが、どうぞゆっくり楽しんでいってください。宜しくお願いします。

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野村周平 この名古屋にこうやって舞い降りることが出来て、僕は今感銘を受けています(場内笑)。皆様、楽しんで帰ってもらえるように、楽しいトークをしていきたいと思いますので、宜しくお願いします。

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三島有紀子監督 愛知は『少女』(2016年/119分)という映画の時に豊橋や蒲郡で撮影させてもらった、思い出の深い土地です。こちらで新作をお観せできるということを本当に嬉しく思います。今日は楽しんでいってください。宜しくお願いします。

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MC. 今回の役について、教えていただけますか?

黒木 私は、「癖」を(三島監督と)一緒に作りました。本読みの時に自分の髪の毛を結構触る癖があるんですけど、それを活かそうということで。普段、人見知りな部分では相手の目を見ない、推理の部分では饒舌になる、メリハリというのは意識して演じました。

野村 監督から言われたのは、「栞子さんは月みたいなので、大輔は太陽みたいに栞子さんを照らしてあげてください」と……凄く難しい要望に応えました。大輔というのは本当に太陽みたいな人で、内気な栞子さんに対して明るく接してあげたり、違う世界に連れてってあげたりとか、凄く性格が良いんです。

MC. 役柄をご自身と比べられて、如何ですか?

野村 僕自身も、太陽みたいな男性だと思っています(場内笑)。そういうところは、似ているかなと思いますね、はい(笑)。皆様のことを照らせると思います。

黒木 私も割りと人見知りなので、時々キョドるところとか似てるかなと思います。あと、本が好きなところも。

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MC. 今回の映画では、印象に残る本が沢山出てきます。皆さんがそれぞれ印象に残っている作品、本というのはありますか?

野村 どうですか、先生がた?

黒木 (笑)。そうですね……色んな本や、映画や、本当に沢山あるんですよね。村上龍さんの『コインロッカー・ベイビーズ』がずっと好きで、自分の本棚に入れていますね。

MC. 意外です。

黒木 意外ですか?でも、そうなんです(場内笑)。

MC. 栞子さんのイメージで、古書が出てくるのかな、と。

黒木 あ、古書も読みます。太宰(治)が好きなので。あとは、江戸川乱歩とか、坂口安吾とか澁澤(龍彦)とか好きですね。……(野村に向かって)分からんやろ(場内笑)?

野村 江戸川乱歩さんでしょ?名前が凄い読みやすいなと思いますよ(場内笑)。

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MC. 大変人気のある原作ですが、監督が映画化する上で大切にされたことは?

三島監督 原作は非常にミステリーの部分に重きを置いていて、もちろんそこは面白いのでやりつつも、栞子さんという人が本を通して人の想いを想像していく部分や、人の想いが繋がっていく、それはどういう風に伝わっていくのか……そこを大事にしました。

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MC. 撮影中のエピソードを教えてください。

野村 成田(凌)、黒木、野村は、基本一緒だったんで、現場ではワイワイお話させていただいたんですけど、東出(昌大)さんと夏帆さんは撮影場所も少し違ったので、会ってないんですよね。

MC. 皆さんでどこかに行かれたりしたんですか?

野村 ……お休みの時、3人で過ごすことあると思いますか、僕たち(場内笑)?撮休で、「3人でちょっとディズニーランド行こう!」なんて言うと思います(笑)?監督さん含め、ご飯をご一緒したことはありますけど、それくらいですよね。

黒木 でも、野村くんが行ってた水族館に、別の時間に行きました。

MC. 水族館で、面白いエピソードがあったとか?

野村 俺が、イルカのショーに出た話ですか(笑)?観客が俺含め5人くらいしかいなくて、イルカショーのお姉さんが「じゃあ、そこの灰色のパーカーの方!」と……灰色のパーカー、俺しかいないじゃん!って(場内笑)。イルカと握手したり、イルカが写真持ってきてくれたり……撮影の合間、楽しませていただきました。

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MC. 黒木さんが水族館に行ったのは、その後?

黒木 はい。同じ日の、後の時間に。

MC. 何か、余韻はありましたか?

黒木 野村くんの余韻は一切感じなかったけど……イルカは可愛かったです。でも、私は(ショー出演に)選ばれませんでした(笑)。

野村 ……この話、どうでもよくないですか(笑)?

三島監督 でも、水族館の近くでは撮影してましたよね。凄く大事な……普段栞子さんが絶対に見ないであろう景色を、大輔さんが見せてあげるというシーンがあるんです。

野村 自転車で下るところも、水族館の近くでしたよね。

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黒木 場所には凄くこだわってらっしゃいましたよね、切通だったりとか……

三島監督 場所“だけ”じゃないですよ(笑)?

黒木 もちろん!もちろん、そうなんですけど(笑)……

三島監督 つっこんでみただけです、済みません(笑)。

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MC. 風景だけでなく、ビブリア古書堂の店内も見所ですよね?

野村 そこも全て、監督が。観てもらうと分かるんですけど、本が全て本物なんですよ。全部ちゃんとぎっしり、全国から古書を集めていただいて本物を飾ってあるんで、まるでセットではないようなリアリティがあって、そこは本当に注目ですね。監督こだわりの、埃の薄さとかあるらしいんで……本を取る時にライティングで舞った埃とか観てあげてください。

三島監督 分からへん!それ絶対、分かれへん(笑)。

野村 その舞った埃も、「作り」です。そういうところまでこだわっているという……この三島有紀子さまのこだわりは、素晴らしいでございますね。拍手ッ(場内拍手)!

MC. これから映画を御覧になる皆様に、メッセージをお願いします。

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野村 始まった途端から映画の中にすっと入れる、そんな作品になっていると思います。過去と現在とに分かれているんですけど、凄くシリアスなシーンあり、楽しめる場面ありと、見所も一杯です。是非楽しんでください。

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黒木 本が、過去と今の人と人を繋げて、本に絡まった糸を栞子と大輔がどうやって解いていくか、その姿を楽しんでいただけたらいいなと思っています。東出さんと夏帆さんも、本当に美しく文学的に存在していらっしゃるので、色んな人に色んな感情を見ながら、浴びながら鑑賞していただけたらいいなと思います。今日はありがとうございました。

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三島監督 黒木華さんと野村周平さんの共演という、お二人のお芝居が本当に素敵なので、そこを楽しんでいただけたらと思います。人と人が繋がる瞬間だったり、本と人が繋がる瞬間だったり、場所と場所が繋がる瞬間みたいなものを、大事に撮影していました。そういったことを感じていただけたら、幸せだなと思います。

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栞子の、葛藤
大輔の、苛立ち

絹子の、逡巡
嘉雄の、遣る瀬無さ

三島有紀子監督が大切にした、こだわりに……
人に、本に、場所に、想いに、繋がって欲しい……映画館の、銀幕で——。

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』

2018年11月1日(木)全国ロードショー
出演:黒木華、野村周平、夏帆、東出昌大
原作:三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』(メディアワークス文庫/KADOKAWA 刊)
監督:三島有紀子
脚本:渡部亮平、松井香奈

公式サイト

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